空洞です/ゆらゆら帝国

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からっぽでお終いってどういうことだよ

ゆらゆら帝国の曲はいくつも紹介したくてたまらないのがあるのだが、一番ラストのアルバムの一番ラストの曲から紹介してしまうとは。
空洞です。アルバム「空洞です」収録。

このアルバム自体のコンセプトが空洞だったそうで、それを作り上げて「もうやりたいことは全部やった」とバンドを解散させてしまうという坂本慎太郎は、もうなんていうかすてきだ。もっと聴きたかったのでほんと残念ではあるけどすてきだ。
たしかにコンセプト通り、熱が発散されるようなアルバムではなく、しかもとっても難解で、すかすかでもある。
でもほんとにすかすかか?熱はないか?と聴きなおせばもうびっしり詰まっていて空洞だと思ってたものはなんだったんだ、とクラクラするアルバムだった。いやフワフワかな。浮遊感が半端ない。

で、この最後の曲 空洞。でだしからスカスカの音と昭和歌謡のようなメロとリズム。インディーズ風な音感がほんときもちいいというか悪いというか(僕はきもちいい)

詞もほんと興味深い。
あなたに奪われてでかい空洞になった自分を「面白い」ってすましちゃう。
子供がきたら自分の空洞を「くぐりぬけてみな」ってなんてこった。

ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな 穴の中
どうぞ 空洞


なぜか町には大事なものがない
それはムード 甘いムード
意味を求めて無意味なものがない
それはムード とろけそうな
入り組んだ路地であなたに出会いたい
それはムード 甘いムード
誰か 味見をしてみな 踊りたい
さあどうぞ ムード


ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな 穴の中
さあどうぞ 空洞
空洞
空洞
空洞
空洞

意味を求めて無意味なものがない
とかほんと好み。
さあどうぞ 空洞
とかほんと虚無。呆然自失。
途中のサックスなんてなんだよ。大人かよ。

この空洞は虚無なのか。たしかに「おもしろい」とか「くぐりぬけてみな」とか投げやりだ。
しかし「どうぞ 空洞」の声の上げかたなんてとてもなまめかしくて、虚無というより祈りをささげているかのようではないか。

二番はムード。足りなかったのはムードだった。ということは空洞の中に詰まるべきものはムードなのね。ムードがないから彼女とうまくいかなくなったのか。
穴の中をくぐりぬけるためにはなるほど甘いムードがなければ。
なんて馬鹿な話まで膨らませたが、膨らまないのが空洞だ。でかい穴だ。
空洞、空洞連呼しながら彼らはこれが完成形だった。


それにしても空洞「です」ってなんだよ。ですって提示されてもなぁ。

中国のモデルさんらしい る鹿 がカバーしたやつ。こっちは空洞じゃなくムードーと名付けたい。

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