汚れたいだけ/Syrup16g

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シロップ16gはなかなかというかかなり痛い歌が多い。それはソングライターの五十嵐隆のパーソナリティーによるところが大きい。
しかしそれが音楽の攻撃性、コード、メロディライン、アレンジ、歌い方と相まってとんでもないところに着地しているものが多くある。
いわゆる名曲だ。
ただに鬱ROCKや厨・・いや失礼、そんなところから明らかに一つ抜けたオリジナリティを纏った曲がある。

ただそのパーソナリティーに無理がたたるか、全部を手放しに「イイネ」は押し難いが。

アルバム「coup d’Etat」収録の汚れたいだけ
この曲もアレンジやメロディーラインで陰鬱な精神状態の歌詞がうつくしく儚く(そして痛く)輝いている。

テレビをつけたら
何も感じなくなってしまったよ
そういつのまにか
無力をなげいては
誰に言い訳したいんだろう
卑怯な奴だな

まずボリュームコントロールされたギターの淡い音がいい。変則的なドラムのリズム。ベースラインもすんごくいい。
そして内向的な歌詞。

心のスピードに
振り回されっぱなしだよ
大人になれなかった
答えにすがれば
救われると信じたんだよ
気が狂ってしまうから

そしてBメロというかサビに。
これがいきなりドラムがオープンハットばりばり鳴らしまくって(映像のライブでは後半の後半までそうでもないが)
音が豪華になっているのに歌詞は「脳が思考の停止を 始めたらそこから落とした」だもんな。ぜんぜんアガってない。
しかしここのメロディが美しい。アガらないけど美しい。悲惨で美しい。

脳が思考の停止を
始めたら そこから
何か落とした
探してみたってもう
見つけられるのは
自分の手


何か落としたが何か嘔吐したとも聞こえる。
このサビはあとでさらに冷たい熱をもって、やっとアガっていく。
そこまで含めてなんて美しいメロディで効果的な符割りだと思う。
2回目以降のこのサビの為にすべてあるのがわる。

そして2番もなかなか。

どうでもいいのに
あなたの嘘に傷つくんだろう
誰とでも寝ればいい
食欲あるくせに
食べるのが好きじゃないなんて
矛盾しているよなあ

食欲の部分が「性欲あるくせに~」と歌われてるライブもある。
また、誰とでも寝ればいいのところが「5000人と寝ればいい」のも。5000人切りはすごいな。
なんにしろこの詞はこのバースが一番印象的。

そしてこの歌のすばらしいのはここからサビを経由して、Cメロに移るのだけど、このバースの最後がいきなりコーラス入りで「汚れたいだけ」と繰り返してぶった切るところ。
なんてテンションのメロディーを入れてくるんだ。

友好的なのは
心の奥に本当の事を
隠すから
小学5年から
人生なめくさってんだ
汚れたいだけ

ほんとこの展開は鬱ソングをただの鬱ソングじゃなくしてる。

そして特に好きなのが次の展開。静かにさらにしょうがないねしょうがないねと内向的に落ちていき・・そこからのNO!

復讐するのが
生きる意味に成り果てても
悲しむ事はない
復讐それだけが
生きる意味に成り得るんだよ
疑う余地はないね
しょうがないね
しょうがないね
しょうがないぜ

NO.
脳が思考の停止を
始めたら そこから
何か落とした
探してみたってもう
見つけられるのは
自分の手
壊さないで
壊さないで
壊さないで

復讐それだけが生きる意味に成り得るんだよ、って歌詞もすごいが声も振り切るほどアゲてアゲまくって絶叫ののち

汚れたいだけ
汚れてたいだけ
汚れてたいだけ
汚れてたいだけ

この聞き終わったあとの余韻、もうほんとこんな青春病のような歌詞をここまで昇華させるなんて、しかもアルバムの最後だぜ。ほんとなんちゅう余韻。
日本のロックで稀有な存在だと思うな。このライブ映像から聴いちゃうとどん引かれるかもしれないけどね。

このアルバム「coup d’Etat」はほんと名盤だと思う。ハピネスや神のカルマ、そして天才とすさまじい曲がつまっている。

ほかのバージョン(デモ?)では
見つけられるのは
自分の手
の自分の手が「自殺だけ」と歌ってんのもあった。あああ。

どうせならそのバージョンも。レコーディング版にも近い。初めて聴くならライブよりこっからのほうがよかったか。映像は「遊体離脱」のだけど違和感なし。




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