ほんとありがとうございます
SIONに出会ったのは高校の時だ。それからどの位だ。優に30年超えだ。
やられてる時に何度助けられたかね。これだけ心底揺さぶられたアーティストはいない。
ほんとやばい時に聴くとやばかったよ。
SIONで紹介したいのはさ、いっぱいあるんだ。なんせ30年超えだからな。
でもこれだろうかな最初は。
なんともシンプルであったかい。だみ声がなんかやたらあったかい。
がんばれと応援するような歌は世の中にいっぱいある。そりゃ言うさ、がんばれYO!
いちばん簡単な言葉だからな。
がんばれってのは毒にでも薬にでもなる。もしくは毒にも薬にも気休めにもならない。
SIONの曲はただがんばれって言ってるだけじゃないのが、僕がはまる理由だ。
この歌は田舎のお母さんが、家を出て暮らす子供に語りかけている体をとっている。
昔話やお母さん自身の現在の暮らしをまじえながら、子供を励ましている。
でもがんばれがんばれと言っているお母さんが一人でやはり寂しいのだ。
お父さんは亡くなり、田舎で一人わんこと暮らす母。年々歳をとっていく。
いつでもここにいるから帰ってきていいんだよと子供にいう。
でもすぐに、そう思えばまだやれるだろうと母は立ち上がることをうながす。
帰ってこれるんだから、も少しがんばってみなって。
だめだったとしても大丈夫だよって。
あなたの人生はまだまだ続いていくんだよって。
ただ「がんばれ」という応援歌ならどこか無責任だ。よく鬱の人にがんばれって言ってはいけないっていうじゃない。ただ「がんばれ」っていうのはほんとうに簡単なことだ。その人を知ろうとしなくても言えるから。
そうだよなみんなもう頑張ってるんだよ。もう頑張ってんのはさあたりまえなんだよ。頑張ってっからぼろぼろになって泣き言も言うんだよ。
がんばってんのにまだがんばれと?そうやって余計追い詰められていく人もいるだろう。
この歌のすごいところは母の言葉という形で「がんばれ、でも帰ってきてもいいんだ、休んでもいいんだよ」と逃げ道があることを示す。ただがんばれって言ってるんじゃないところだ。逃げ道があるんだから、もうちょっとがんばってみようかって。
そしてがんばっているのは自分だけじゃないんだなって気づかされる。母さんも寂しさを口にせずがんばっているんだ。
本当の救いがある。許しがある。もうちょっと頑張ってみようかって思うよ。すべての人への温かいエールだ。
なんだろなこのSIONという人の説得力は。
みんながんばっているんだな。がんばって、疲れて、でもまたはじめるんだな。生きるってこと、そして優しいってことはそういうことだなって思わせるんだ。
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