Sinéad Marie Bernadette O’Connor
1966年12月8日生まれ
アイルランド出身
ナッシング・コンペアーズ・トウ・ユー (Nothing Compares 2 U)が大ヒットした1990年、たしかその頃は彼女はシンニード・オコナーと呼ばれていた。まぁ日本語的読み方の揺らぎだからシネイドでいい。
僕も彼女を知ったのはその大ヒットした曲のMVだった。坊主頭の目の大きな美女がうたうその歌はかなりしんみり響く曲だった。抑揚のなか、悲しみといらだち、さみしさ愛しさがあふれている。最後に流れる涙にぐっときた。
元はプリンス殿下の曲だ。
シネイド・オコナーは孤高の歌姫だ。激しい気性はいろいろな揉め事もおこしてきた。とても反抗的で社会へ問題提起する姿勢を崩さない。アイルランド的な気性なのかもしれない。
特にボブ・ディランの30周年記念コンサートの映像はなかなか衝撃的だ。
そのコンサートはジョージ・ハリソン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ジョニー・キャッシュ、スティービー・ワンダーなどの大物のめんめんがディランの歌をそれぞれ披露して大盛り上がりだった。そしてシネイドの番がきた。
彼女が登場したとき観客席は物凄い歓声だった。彼女もすこしはにかむような感じでステージにむかう。しかしそれは歓声ではなかった。
彼女はこのライブの何日か前に、テレビの生放送中にローマ法王の写真をびりびりに破り大きな物議をかましていたのだ。それはカトリックの牧師たちが幼児を虐待していたということへの抗議だったが、アメリカでは大変問題視されていた。
そしてこのライブだ。歓声かと思ったものは激しいブーイングで、いつまでもやむことはなく歌は始まらない。なんとかバンドが演奏を始めようとするがさらに激しいブーイング、シネイドは両手を横に振って演奏を止める。彼女はディランの「アイ・ビリーブ・イン・ユー」を歌うはずだった。まさに信仰の歌だ。
しかし大ブーイングの前に演奏は始められない。ピアノが鳴り始めるが、彼女はそれを制しアカペラで歌いだす。ボブはボブでもボブ・マーレィの「War」だ。
彼女は激しく歌い終わると、崩れる体を抱きかかえられるようにステージを降りていく。
ステージの端では嘔吐したようだ。
僕はこのコンサートをテレビで最初から最後までみていたのだけど、このシネイドのシーンですべて飛んでしまうくらいだった。
彼女はほんものだ。まぁ当たり前なんだけど、ほんものだって鳥肌たてながら思ったんだった。
彼女は子供のころ母親の虐待を受けて育った。それもすさまじいやつだ。その後カトリックの修道院にいれられ、その修道院でも虐待を受けていたのだ。
その記憶と聖教者による幼児虐待、彼女の行為や叫びはそこからのものだからよりリアルだ。
しばらくして幼児虐待の事実があきらかになり何人もの聖教者が逮捕されるにいたる。そしてこのライブから16年たちようやくローマカトリックの教皇が公にこの虐待について謝罪することになった。
彼女の声がようやく形になった。彼女がこの場でうたった「目をそらすな、今は悲惨にあふれている。私は叫ぶ、世界は戦場だ」のチョイスに胸があらためて熱くなる。
彼女を抱きかかえ励ました者はクリス・クリストファーソン。彼は後に「シスター・シネイド」という曲を発表している。
”彼女は一生懸命真実を言ったが、彼女は深く誤解された
たぶん彼女はクレイジー、そしてたぶん彼女はそうではない
しかしピカソも聖人たちもそうだった”
いいやつだよな。
シネイド・オコナーはそういうわけで激しい孤高の歌姫、魂を歌う歌姫なのです。ノット スゥイート。
生まれついての真正パンク。ロックンロール。髪型をみてもね。
それではシネイド・オコナーの名曲をいくつか。
一枚目のアルバム「The Lion and the Cobra」からI Want Your Hands on Me
僕がとても好きな曲「Black Boys On Mopeds 」
とても美しいバラードだけどその歌詞は強烈。いきなり、マーガレット・サッチャーがテレビで北京の事件を非難しているけどおかしいでしょう彼女も同じ命令をだしているのにって。
スクーターに乗っていただけの黒人を警官が殺す国。貧しい若い母親が朝五時から幼い子供たちの食べ物を探す。その子供たちは冷たくなっていく、そして初めて覚えた言葉は「プリーズ」だった。。
静かだけど強烈な歌です。
これは髪の毛伸びてるときの。絶対坊主より素敵だけどね、そういうと彼女は怒り狂うらしいよ。
47歳のシネイド。声は太くなり、髪ものばしてちょっと彼女とは見えなかったけど、その激しさや歌っていることは同じ。曲の最初には「ナッシング・コンペアー・2・U」の映像をだぶらっせてもう昔みたいには愛したくはない、昔みたいなラブソングは歌いたくない、昔みたいな歌い方はしたくない、ああいう女になりたくない、泣きたくないって。そして教会につれてって、私はわるいこといっぱいした、だけど傷つける教会はいやって。
結局髪もウィッグだったみたいで坊主になるしね。
かっこいいなぁ。
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